アリマキの殻?


2013.02.23

 椿の蕾の表面に小さな茶色の粒々がありました。直径は1mmくらいで、少々不気味に密集しています。

撮影日:2013.02.18


 何かの卵かなと思って接写し(もはや老眼で肉眼では見えないので…)、拡大してみると、アリマキ(アブラムシ)Aphidoidea の一種のようです。今頃の季節にアリマキ? それにしては全然動かず、抜け殻みたいなものもあります(下の写真にマウスポインタを乗せてみてください)。 いったいこれは何なのでしょう?

撮影日:2013.02.18
抜け殻?

 …というわけで調べて見たところ、これは寄生蜂のアブラバチ Braconidae の一種に卵を産みつけられたアリマキの成れの果てであることが分かりました。卵から孵ったハチの幼虫は、アリマキの体の内部を食べてそのまま蛹となり、羽化した成虫が出て行くとアリマキの殻が残るというわけです。このような状態のアリマキをマミー(Mummy:ミイラ)と呼ぶそうです。

 普通は寄生された虫は体の形が無くなってしまうことが多いと思いますが、アブラバチに寄生されたアリマキは成体の形のまま、それも植物体に付いたまま抜け殻になってしまうのですね。"ミイラ"と呼ぶのは正に言い得て妙といったところです。それに、こういう寄生戦略を採用(?)したアブラバチの進化も凄いというか、不思議というか、ですね。


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