秋と春をつなぐもの ─ メスアカケバエ


2006.04.29
2015.11.17 補足

 もう何年も前から、春の今頃だけにたくさん出現する、青黒いハチかハエのような虫が気になっていました。体長は10mmくらいで、暖かい日に何十、何百匹もの虫が辺りをブンブンと飛び回り、数週間でいなくなってしまうのです。足をだらりと下げて飛ぶ姿も特徴的です。

 それともう一つ、同じくらいずっと気になっている虫がいました。それは秋に落葉の下のあちらこちらで見られる奇怪な幼虫の集団でした。幼虫の体には疎らな刺のようなものが生えていて、それらが大量に密集してモゾモゾ蠢いている様相は筆舌に尽くしがたい気色ワルさでした。

 そのうち、春にブンブン飛んでいる虫は秋の奇怪な幼虫の成虫かもしれない、と思うようになりました。集団に見合う数の幼虫が成虫になったら結構目に付くはずで、それだけの数の成虫が出現するのは、この辺りでは他に思い当たらなかったからです。そんなわけで、この虫の正体を探ってみました。そしてたどり着いたのは、メスアカケバエ Bibio rufiventris というハエの仲間でした。さらに、メスアカケバエの幼虫が、まさにあの落葉の下の奇怪な虫だったことも分かり、これで秋と春の虫が一つにつながりました。そんなに真剣に悩んでいたわけではありませんが、長年の疑問が解決するのはなかなか良い気分ですね。

撮影日:2006.04.24

メスアカケバエ メスアカケバエ
  左:雄  右:雌

 なお、幼虫の写真は古いポジフィルムで撮ったものしか無いので、あえて掲載しないことにしました(^^;;)。
[補足]2015.11.17
 メスアカケバエの幼虫と思われる写真が撮れたので別ページに掲載しました(ただし閲覧注意!!)


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