サトキマダラヒカゲの変異


2011.09.03 [写真追加:2011.09.11]

 勤め先の周辺にキマダラヒカゲが結構います。平地なのでサトキマダラヒカゲ Neope goschkevitschii と思われますが、いろいろ微妙な点が眼につきましたので、写真を撮ってみました。
 Webなどでサトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲ Neope niphonica の区別点を調べると、多いのは、

の2点です。さて、ここで下の2枚の写真を見てみましょう。(撮影日:2011.08.09, 2011.08.30)

サトキマダラヒカゲ1 サトキマダラヒカゲ2

 左の写真の個体は(写真の上にマウスのポインタを乗せてみて下さい)、後翅裏面基部の3つの黄紋は直線的(実際は"へ"の字ですけど)で、サトキマダラヒカゲの特徴を持っています。しかし、外縁部の下から4、5番目のリング状の紋は大きく、ヤマキマダラヒカゲの特徴を持っていると言えます。
 反対に右の写真の個体は(写真の上にマウスのポインタを乗せてみて下さい)、後翅裏面基部の3つの黄紋の一番下の紋(ハート形になってます)が離れているようにも見え、微妙にヤマキマダラヒカゲ的です(もっとも、ヤマキマダラヒカゲはもっと豪快に離れていますが)。しかし一方、外縁部の下から4、5番目のリング状の紋は小さく、こちらはサトキマダラヒカゲの特徴を持っています。

[写真追加]さらに2個体の写真を。

 左は典型的なサトキマダラヒカゲタイプといってもよい個体です。右は典型的?なヤマキマダラヒカゲタイプ(と自分勝手に言っていますが)です。

 このように、いささか混乱気味のサトキマダラヒカゲの個体変異ですが、まぁ全体的に見れば翅の色合いなどからはサトキマダラヒカゲの範疇でしょう。とはいえ、実はサトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲの境界は連続的なのではないか(種の分化の途中?)と思ってしまう今日この頃なのでした。あるいは、もともとサトキマダラヒカゲは変異が多く、その中からヤマキマダラヒカゲが分化していった、ということなのかもしれません。


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